院長渡辺邦夫ブログ

先日農水大臣が意味不明な馬鹿げた発言の末に辞任しましたが、彼は典型的な二世議員でした。後任として登場したのは何と初代から数えて4世代目の世襲議員です。米価の高止まりが彼のパフォーマンスだけで沈静化するとは到底思えませんが、先ずはお手並み拝見といった所でしょうか。さて日本の総人口は2008年をピークとして減り続けており、年間約700万トンのコメ消費量は今後ますます減少することが予想されます。こんな中2024年は例年に比べ101%の豊作だったと言われているにもかかわらず、現在米価が高止まりしている日本の現実は謎でしかありません。そろそろ小手先の応急処置ではなく、JA と農水省そして農水族議員にまでメスを入れる抜本的な改革に着手すべき好機到来かと考えます。まず農水官僚達は思考停止して前例踏襲することを止め、農業に関連した様々な規制を撤廃し、真に農家に寄り添った農業改革を実行し、理屈の通らない補助金の支出で農家のやる気を削ぐような税金の無駄遣いは再検討すべきかと考えます。更に言うなら2018年に廃止したはずなのに未だダラダラと続く減反政策はしっかりと見直し、正確なデータに基づく政策へと変更すること。農業の大規模化、適正化そして最適地での生産に舵を切り、利益追求を可能にすれば、農業はもっと魅力ある職種へと変貌して、やる気のある若者達の参入を促し、国際競争力を持った商品として海外への販路を広げることも可能になると考えます。そしてその成功例は既にヨーロッパ各国に多数存在します。政治家や官僚達は国費観光ではなく本気で視察し、先人達に学んで来て欲しいものです。現在世界先進各国の食料自給率は、カナダ233%、フランス131%、アメリカ121%、ドイツ84%、イギリス70%、イタリア58%、日本38%となっていますが、日本の場合肥料、飼料、種子の大半を海外に依存している為、実際の自給率は10%を切っていると考えるべきであります。ということは、ひとたび世界規模の大きな紛争が起こって物流が滞れば、「世界で最初に飢えるのは日本である」というアメリカの研究者の指摘は、もっと深刻に受け止めて早急な対策を講じるべき喫緊の課題であると考えます。こんな中コメだけは我が国において自給率100%(田植え機の燃料は輸入ですが)と言われています。政治家達は食料安全保障の観点から見ても極めて重要な戦略物資であるコメの問題を1日も早く解決し、国民の不安を払拭してもらいたいものです。

2025年05月26日

群れずに生きる

私は中学、高校でハンドボール、そして大学ではアイスホッケーを割と本気でやって来ました。何れの部活も練習はかなり厳しくハードでしたが、最終的にはきっちりと結果を出すことが出来、今振り返っても大いなる達成感を感じています。つまりこれまでの人生を振り返ると、いつもグループを結成し、ワンチームとなって目標を達成する活動を続けて来た訳ですが、平成元年(1989年)わたなべ整形外科を開業してからは徐々に自分の人生観が変わって来ているのを感じます。最近スポーツはもっぱらテニス、雨の日はスカッシュ、そして夜はDaVAで走り、筋トレ、ストレッチの毎日です。以前の自分は様々な集団に属し、仲間達と時間を共有することで心の不安を解消し社会生活の中での立ち位置を確認していた気がします。しかし最近は殆どすべての集団から離れて生活しています。おかげで家族と過ごす時間が増え、また一人静かに自分と向き合う時間も増えて来たと感じています。私には大学生の頃、本当にお世話になった恩師がいます。彼は日本の大学院を卒業すると同時にモントリオールMcGill大学に留学し生理学教室の助教授となりましたが、同教室のハンス・セリエ教授から様々な教えを受けました。セリエ氏は「ストレス学説」を提唱した高名な生理学者ですが、「Nature calls me」と教室員に対して語り掛け、静かに自身と向き合う時間を作って自分の身体が今何を求めているのかを聞き取り、それを満たして行くという生き方が大切であると説いたそうです。私は一見すると社交的に見えますが、非常に交際する相手を選びます。選択の基準として職業、年齢、人種、性別、貧富、社会的地位は全く考慮に入れません。嘘をつく人、狡い人、人を偏見を持って差別する人、威張る人、既得権益にしがみついて努力しない人、相手によって態度を変える人、既成概念やSNS上の偏った情報に惑わされ発言・行動する人。このような方達とはあまり親しくなれる自信はありません。私はたまたま医師という職業を選び、毎日大勢の患者さんの診察に従事しておりますが、この職業選択にはとても満足しております。その理由は、この職種は誰にもお世辞を言ったりゴマを擦ったりする必要はなく、常に自分に正直に、直球勝負で仕事が出来るからです。今の世の中 正義が通らず、モヤモヤする事象の多い中、これからも誰に媚びることもなく、群れることもなく真っ直ぐに生きて行こうと考えています。

2025年03月14日

独裁者待望論?

2025年1月20日、アメリカ合衆国第47代大統領に、ドナルド ・ジョン・トランプ氏が就任しました。彼についての評価は賛否両論ありますが、何れにせよアメリカ合衆国史上稀に見る、強力な個性を持った男が、この地球上最も強大な国のトップに立つ事になりました。さて現在世界は1945年に終戦を迎えた第二次世界大戦以降、最も秩序の乱れた状況となっており、世界各地で戦争が勃発し罪なき多くの市民の命が日々失われています。国連の権威は地に落ち、常任理事国(英・米・仏・ロシア・中国)が乱発する拒否権の行使により、国連安全保障理事会の決定は何ら実効性を持たない空虚なものとなっています。こんな中、世界各国で右派勢力が台頭し、American first は言うに及ばず自国ファーストの政策が横行し始めております。そのたどり着く先がどうなるか、これまでの人類の歴史の教訓が生かされないのではと心配する人が増えて来ております。この混沌とした世界情勢の中、日本はどんなスタンスで世界と対峙すべきなのでしょうか。世界で唯一の被爆国であるにも拘らず、常に米国の顔色を窺い、核兵器禁止条約にも不参加という体たらくは、日本の腰抜け外交の象徴であると考えます。戦後80年、外務省の無能ぶりには、ただ呆れるばかりですが、同じ敗戦国のドイツ、イタリアが粘り強い外交交渉の末、不平等条約の廃棄に成功したのに比べ、我が国では天下の不平等条約「日米地位協定」にはこれからも全く手を付けない姿勢を貫くようです。こんな中、歴史観を持たず、知性を全く感じさせない政治屋達が日本のトップに連綿と名を連ねて来ております。まさに30年続く日本の停滞を象徴するような人達です。

 さて、これまでの我が国の歴史をひも解くと、国家存亡の危機に際し強力なリーダーシップを発揮して国難回避に貢献する人物が登場した事例があります。そろそろ大衆迎合政治を止め、誠実で高潔、正義感が強く、謙虚で高い知性を持ち、国際感覚に優れ、常に国民目線で考え、時代の先を読む先見性に優れた政治家が現れ、良い意味で独裁的に、時には痛みを伴う政策であっても国家・国民を第一に考え断行し、日本がまた再生軌道に戻るまでの一定期間だけ、ある意味強引に正しい方向に導いてくれることを夢想しています。そして我々国民は「今だけ、金だけ、自分だけ」をモットーとする政治屋を選挙で落選させる事を目指しましょう。

① 開院以来掲げている「笑顔」「親切」「信頼」のモットーが生きている。
② 院内に笑顔と笑い声があふれており、病院にいることをしばし忘れてしまう。
③ 足利市内の整形外科で唯一、院内処方を採用している。(患者負担3割軽減)
④ 待ち時間に患者さんを退屈させない工夫がある。
⑤ 待合室に100の引き出しコーナーがあり、様々な情報発信物が手に入る。
⑥ 担当医師達のレベルが高く、最新で高度な医療の提供を受けることが出来る。
⑦ 院長や副院長が不在の際は慶應整形外科から優秀な医師達のサポートが受けられる。
⑧ 無料の患者さん送迎バスサービスがある。
⑨ 150㎡のリハビリ室に17台の治療用ベッドと豊富な治療機器が完備。
⑩ 柔道整復師と有能なリハビリスタッフによる献身的な施術が受けられる。
⑪ ホームページが充実している。(院長ブログ、スタッフブログetc)
⑫ 屋上に自家発電装置が設置されており災害時の対応が可能。
⑬ 第1、第2合わせて60台分の患者さん用駐車場が完備。
⑭ 整形外科とコラボした形で本格的なカイロプラクティックの治療が受けられる。
⑮ 豊富な自由診療(美容点滴、ピアス、ED、AGA、サプリメントetc)
⑯ 2階に美容皮膚科が併設されておりレーザー脱毛や美肌治療が受けられる。
⑰ 院長による英語での診療が受けられる。
⑱ 豪華なトイレ (トイレは病院の顔、気合を入れて快適な空間に仕上げました。)
⑲ わたなべ整形外科には自慢のテーマソングがある。
⑳ 近隣の慶應関連病院とのパイプが太い。(院長、副院長共に慶應整形外科出身)
㉑ 患者さんを自分の身内に置き換えて診るという基本をスタッフ全員が実践している。

『結語』病院での主役は患者さんであるという強い信念の下、患者さんに優しく寄り添い、思い切りの「笑顔」でお迎えし、「親切」な対応で病状の改善を目指し、その先患者さんとスタッフとの間に確固たる「信頼」関係が生まれることで、これからも地域で選ばれ続ける医療機関を目指します。

文責 渡辺邦夫
2024.12.16

2024年09月30日

「街路樹の悲哀」

 

2024年9月12日午後、悲しい事件が発生しました。

   足利市寿町わたなべ整形外科東側の銀杏の街路樹が、突然根元から切り倒されたのです。足利市側からは何の事前通告もなく、福寿大橋北側の南北の道路に植えられた樹齢何十年という立派な銀杏の街路樹が高さ10㎝程の痛々しい切り株を残して姿を消しました。これは一部誤解されている方もいらっしゃるようですが、ビッグモーター事件と違って当院の建物が目立つようにという意図で、私が足利市に依頼して伐採してもらったというものではありません。さて伐採後も市側から何の説明もないので9月24日担当部署に問い合わせたところ、中橋架け替え工事に伴って発生が予想される福寿大橋北側の渋滞対策が目的であるとの由。さらには銀杏の枝が車の走行の邪魔にならないように、また車からの視界を広げることで幼児の交通事故被害を減らすなど、まったく説得力のない言い訳でこの樹齢30数年の立派な街路樹達は いとも簡単に根こそぎ伐採されてしまったようです。この決定を下した担当者に対しては怒りを通り越してただ呆れるばかりです。車の走行の邪魔になるというのであれば、中橋架け替えに要する3年半の間だけ、道路にはみ出した部分の枝を年に何回か剪定するという発想がこの担当者には無かったようです。

この背景には足利市の厳しい財政状況があり、街路樹のメンテナンスへの支出をゼロにするという意図が見え隠れします。メンテのお金が無いというのであれば、いきなり根元から切り倒すのではなく、有志のボランティアを募って枝の剪定作業に協力してもらうとか、それ以外にも様々なアイディアを募集するということは出来なかったのでしょうか。つい先日、テレビの全国放送で何回も繰り返し放送され恥ずかしい思いをしましたが、袋川の桜の木伐採問題に続き、足利市はまたしても理解不能な暴挙に出たという感じがします。折しも東京では神宮外苑銀杏並木伐採に関する熱い議論が戦わされていますが、足利市では議論の俎上に載ることも無く、いきなり伐採されてしまいました。市民不在の行政が粛々と実行されているという印象を受けました。繰り返しお伝えしますが、四季折々、市民に癒しを与えてくれていた素晴らしい銀杏の街路樹が、何の事前通告もなく伐採されてしまいました。突然伐採された銀杏たちの無念を思うと胸が痛みます。   2024.9.30

2024年09月21日

「足利に活‼」

 8月3日足利花火大会、8月4日桐生八木節祭り、そして8月18日群馬県立館林美術館にて大森暁生彫刻展と、立て続けに感動的な体験をさせて頂きました。足利で生まれ育った18年、強い郷土愛と故郷に対する誇りを持って36歳で故郷に戻り、1年間の足利日赤勤務後 わたなべ整形外科を開業しました。この足利を離れた18年の間、国の内外を問わず様々な研鑽を重ねて参りました。そのおかげで足利という街を、そして日本という国を多少客観的に見ることが出来るようになったと感じています。私が足利高校で学んでいた頃、近隣の太田市、佐野市、館林市、桐生市からは多くの越境入学者がいて、当時の足利高校のレベルの高さが伺えます。産業も繊維を中心に、とても盛んだった事が思い出されます。この頃の足利の繁栄ぶりを知る人間としては、今の足利の寂しい現状はとても残念で仕方ありません。

   こんな中、桐生八木節祭りに参加して軽いカルチャーショックを受けました。これまでは時代の流れで、同じように衰退の道を歩んでいる街として桐生をとらえていましたが、市民参加型の熱気あふれるイベント、そしてその運営方法を知り、頭の下がる思いがしました。桐生の企業経営者達のメセナ活動への深い理解、資金的な貢献、そして祭りの企画運営に市民が積極的に参加することで熱い祭りが実行されていました。実際に参加して目の当たりにしたのは、桐生市民が本当に心からこの3日間の祭りを楽しんでいる姿でした。誤解を恐れず言わせてもらえば、一瞬 リオのカーニバルが頭をよぎりました。

    極めて対照的なのは足利の花火でした。今年も大勢の人が集まり大盛況だったと思いますが、何か違和感を覚えました。このイベントは入場料を払って離れた場所から見物する催しという感じで、市民が具体的に運営に関わり、祭りの熱狂の中に身を投じて楽しむという一体感がありません。(翌日、花火大会会場のゴミ拾いには多くの市民が参加しますが。)

    足利の花火は商工会議所主催であり、運営が赤字だと聞いています。その赤字対策として今年、メンバーの提案で有料席を大幅に増やしたとの由。来年はもっと有料席を増やす予定だそうですが、それはちょっと違うのではないでしょうか。警備ボランティアの募集やクラウドファンディングの活用など、運営上のバランスシートを改善する方法はいくらでもあると思います。何れにせよ有料席を大幅に増やし市民から小銭を徴収するという発想は私には理解出来ません。

   また、先日訪問させて頂いた、館林市の群馬県立館林美術館には何もかも圧倒されてしまいました。75,000㎡(約22,700坪)の広大なエリアに、極めてスタイリッシュな建造物が佇んでいました。既に建物自体が美術品という趣で、ヨーロッパにありがちな美術館建設のコンセプトを感じました。一方足利市立美術館はどうかというと、集合住宅の1~2階に設置してある狭いスペースで、上層階住宅からの水漏れリスクに配慮して、貴重な美術品の展示には対応出来ないと聞いております。また以前は市民会館という、割としっかりしたコンサートホールがありましたが、老朽化が進んだという理由で取り壊され、未だ再建の具体的なプランは聞いておりません。幼い子供達を楽しませる施設、文化的な催しをする施設、居心地の良い公園、等々足利には無いものばかりです。本当にいろいろな意味で我が故郷足利は魅力のない街になって来たと感じています。足利市は市民から集めた血税の分配をもう少し厳しく再検討し、市民にとって子育てし易い魅力あるまちづくりの為に使って欲しいと考えています。        2024.9.19

私は大学2年の夏、3ヶ月間欧州全域をバックパッカーで旅して以来、これまで実に多くの国を訪れて来ました。タヒチ、モルディブ、プーケット、ビンタン、バリ、ケアンズ、シンガポール、香港、台湾、グアム、ハワイ、そして欧州各国。子供達が成人してからは欧州を訪れる機会が増えましたが、行くたびに強く感じるのは欧州各国の地方都市に住む人達がとても元気で、地方の(食)文化をしっかりと継承し、日々の生活を大いにエンジョイしているということです。2024年2月現在、日本の農業従事者の平均年齢は68.4歳(この内70歳以上の比率は58.7%)、米農家に限定すると平均年齢70歳です。重労働、低収入、天候などに左右される不確実性などの理由で農業を目指す若者が減り続ける日本からすると、想像もつかない豊かな農業ライフが欧米では展開されています。この背景にあるのは食料安全保障の観点から、各国政府もしくはEUが強力に農業支援を推進しているということであり、日本政府の農業切り捨てとも思える常軌を逸した農業政策との違いが際立ちます。

先日初めて訪れたシチリア島、ここの住民達は食料の完全な自給自足が実現されていることを誇りとしており、食料安全保障の観点からすると正に優等生と言えるかも知れない。彼等は実によく喋る。南イタリア人の特徴なのかも知れないけれど、何しろ楽しそうに大きな声で会話している光景が目につき、側から見ていても実に幸せそうなオーラがみなぎっている。彼等は毎日の生活を楽しみ、隣人達との会話を楽しみ、Are you happy ?と聞かれたら、即座に I’m happy. と返して来る雰囲気が漂っていた。マーケットには豊かな海産物、そしてオリーブ、オレンジ、ピスタチオ、アーモンドその他数多くの農産物、更には美味しいワインが溢れ、まさに地産地消が実現されており、米国ラトガース大学の研究者達から「世界で最初に飢えるのは日本 」と指摘され、隣人とのコミュニケーションも希薄で、隣にどんな人が住んでいるかも知らずに生活している日本とは別世界である。

こんな中、政府が主張する我が国の食料自給率37%はまったく事実に反しており、その大半を輸入に頼る、種や肥料、飼料まで考慮すれば、我が国の自給率はひとたび局地的な核戦争が勃発した場合、食料生産の減少と物流停止の影響で10%以下になるという東大名誉教授鈴木宣弘氏の主張は傾聴に値すると考えます。地方の豊かな食や伝統文化を守り、日々の生活を心から楽しむことの出来る地方都市を復活させ、住んで楽しい「まちづくり」とは何か、行政主導の都市計画ではなく、住民一人ひとりがもう少し視野を広げ、アイデアを出し合い、話し合い、本気で考えるべき時が来たと感じます。             2024.9.8

2024年8月3日(土)、今年も足利花火大会を見物しました。毎年前日の夕方、当院スタッフが大会本部席付近の土手に少し大きめのビニールシートを敷いて場所取りをし、ここに仲間が集まり寝転んで目の前で繰り広げられる花火を堪能するというイベントです。以前一度だけ桟敷席で見物したことがありましたが、あまりの居心地の悪さに耐えられず翌年からはまた元のビニールシートでの見物に戻りました。今年も花火の出来栄えはとても素晴らしいもので、ドドーン、パリパリという音を体全体(特にお腹)で受け止め、眼前に広がる眩いばかりの、宝石を撒き散らしたようなパノラマに酔いしれました。 翌8月4日はお隣の街で開催される桐生八木節祭りに、友人ファミリーと2家族で行って来ましたが、初めて参加した私にとってこの祭りはかなり衝撃的な体験でした。15年前に足利から桐生に移住した友人の案内で祭り会場へ侵入しましたが、そのあまりの盛り上がりに終始圧倒され続けました。大きな櫓が何ヶ所も、封鎖された道路中央に聳え立ち、その上に陣取った演者達が笛や太鼓の伴奏を行い、これに合わせて5分位?の間隔で歌い手が次々に交代しながら大声を張り上げ八木節を歌い続けます。その櫓の周りには大勢の大衆踊り手が群がり、5〜10人位の小集団で円を構成し、この集団がまるで風車のようにグルグルと同じステップを踏みながら踊り回るという光景でした。途中から土砂降りの雨に見舞われましたが、この踊る集団はまったく意に介さずお囃子に合わせて、まるでトランス状態に陥ったように踊り続けていました。これだけ市民を熱狂させる演出には、ただただ感動し頭の下がる思いがしました。1964年に始まったこの祭りを体験して一番強く感じたことは、まさに市民参加型の祭りであり、市民が本当に一つになって心から祭りを楽しんでいるという事でした。さらに感じたことは、この街には昭和の原風景が残っており、古き良き時代のコミュニティーがしっかりと機能しているなということ。隣近所がとても親しく交流している為、近所のおじさん、おばさん達が楽しみながら子育て支援してくれる、災害にも強い街という印象を受けました。足利と桐生、二つの街の一大イベントを2日間に亘って体験した印象としては、足利の花火大会は有料席が例年に比べて激増しており、花火自体は素晴らしかったのですが、如何にも利益を優先したイベントであり、河原や土手にシートを敷いてのんびり花火を楽しみたいという庶民のささやかな楽しみを奪ってしまっていると感じました。一方の桐生祭りは完璧な市民ファースト、市民参加型のイベントであり、普段はシャッター通りだという商店街の多くの店に活気が溢れ、子供達の喜びそうな屋台が所狭しと立ち並び、多くの市民が心から楽しみ交流を深める場となっていると感じました。           2024.8.10  

厚生労働省(厚労省)は保険診療と保険外診療の併用を原則禁止しており、もし同日に併用した場合これを混合診療とみなして患者さんはその費用の全額を支払う義務があるとしております。こんな中、昨年からインフルエンザの予防接種が問題になっています。厚労省の通達によると、予防接種は保険外診療です。保険診療日に接種すると混合診療に該当しますので別の日に、接種だけを目的として再度来院させて下さい、という内容でした。ただし新型コロナワクチン接種に関してはこの限りにあらず。更には、諸般の事情により別日の来院が困難な患者さんには接種してもよろしい。但し当日の保険診療行為に関しては基本診察料を患者さんに請求してはいけません、という通達でした。要するに政府は接種日、医療機関側に基本診察料はお支払いしません、「それでも良ければ予防接種、お好きにどうぞ!」ということです。患者さんファーストをモットーとする当院としては、家族のサポートもなく自力での来院が困難な患者さんに対して、別の日にもう一度予防接種だけの為に来て下さいと言えるはずもなく、今年からは診察料請求無しで保険診療来院時に接種可とすることを決定しました。厚労省の政策上の疑問点は混合診療以外にも多数ありますが、クスリの欠品問題も含め当院として今一番頭を悩ましているのは、医療非課税問題です。これは院内処方で頑張っている医療機関の経営を極度に圧迫しています。簡単に言うと100円のクスリを消費税込み110円で薬問屋から購入し、患者さんには100円でお渡ししなければならないという問題です。薬価差益も無くなり厳しい経営を迫られる中、当院ではこの件だけで年間3,000万円以上の減収となっています。一刻も早く正常な状態(薬購入時も100円)に改善してもらいたいものです。さて今年のインフルエンザ感染状況はCOVID-19の影響もあってかなり早い時期から深刻なものとなりつつあります。皆さん、今年は少し早めに接種することをお勧め致します。当院におけるインフルエンザ予防接種は予約無しで受けることが出来ます。ワクチンは接種後2週間で効き始め、その後5ヶ月間効果が持続します。厚労省も今年はインフルエンザワクチンの需要が高まることを予想し、過去5年で最大量(約6300万人分)のワクチン供給を予定していますが、2017年、2018年のような全国的なワクチン不足が生じる前に接種することを目指しましょう。 2023.10.10

人手不足が大きな話題になっている昨今、政府が進める「働き方改革」の影響もあって様々な職場が困った状況になっています。当院でもご多分に漏れず昨年位から就職を希望する若者が激減中です。今年こそはと気合を入れて、初任給を市内で一番になるように設定しましたが、反応はいまいちでした。そこで学校の進路指導の先生方に不人気の理由をお聞きすると、当院の診療体制にあるのではという可能性を告げられました。当院の診療体制は1989年の開業以来、幾多の変遷を経て現在の形に落ち着いていますが、確かに他の医療機関とは一線を画すものとなっています。何故この形に落ち着いたかというと、その一番の理由は「患者さんファースト」という当院の基本理念にあります。当院テーマソング4小節目で歌われる通り、主役は患者さんという考え方です。 受付時間は、夕方会社が終わってからも間に合うようにと、開業当初の6時から6時半に、土曜の午後しか来られないという方の為に、土曜日は午後6時まで(木曜日は午前のみ診療)となり、また祝祭日は午前中のみですが診療を行っています。これら一連の診療時間変更への反響は我々の想像をはるかに超える形で現われ、「おかげさまで」「ありがとうね」「助かります」等々、様々な感謝のお声を日々頂いております。しかしながら、これら一連の医療への取り組みは若者達からは不評のようです。給料は多少安くても早く帰宅出来る医療機関が若者から人気という話を聞き、妙に納得してしまいましたが、その一方で強い違和感も覚えました。そもそも医療機関で働きたいと考えた原点はどの辺にあるのか、初心に帰ってその頃の純粋な気持ちを思い出して欲しいと考えました。初代足利日赤院長小野康平先生に頂いた著書「医の奉仕」にある如く、医療機関で働く人間に求められるのは奉仕の精神だと思います。さまざまな症状を訴え来院される患者さんの助けになりたい、困っている人に寄り添って何かサポートしてあげたいという気持ちが高じて医療機関を就職先として選んだのではないでしょうか?私は開業以来掲げている「笑顔」「親切」「信頼」のモットーに共感し、患者さんとの感動の時間を共有したいと考える人達と共に仕事をしたいと考えています。さて当院では開業以来、少し多目にスタッフを採用してこれまでやって来ましたが、その理由は多目のスタッフで上手にシフトを組むことで早番・遅番・交代制などを活用し、より快適な勤務環境が実現出来ると考えるからです。こころざし高き若者よ、いざ集え わたなべ整形外科へ                                 2023.9.25