混合診療と予防接種のこと
厚生労働省(厚労省)は保険診療と保険外診療の併用を原則禁止しており、もし同日に併用した場合これを混合診療とみなして患者さんはその費用の全額を支払う義務があるとしております。こんな中、昨年からインフルエンザの予防接種が問題になっています。厚労省の通達によると、予防接種は保険外診療です。保険診療日に接種すると混合診療に該当しますので別の日に、接種だけを目的として再度来院させて下さい、という内容でした。ただし新型コロナワクチン接種に関してはこの限りにあらず。更には、諸般の事情により別日の来院が困難な患者さんには接種してもよろしい。但し当日の保険診療行為に関しては基本診察料を患者さんに請求してはいけません、という通達でした。要するに政府は接種日、医療機関側に基本診察料はお支払いしません、「それでも良ければ予防接種、お好きにどうぞ!」ということです。患者さんファーストをモットーとする当院としては、家族のサポートもなく自力での来院が困難な患者さんに対して、別の日にもう一度予防接種だけの為に来て下さいと言えるはずもなく、今年からは診察料請求無しで保険診療来院時に接種可とすることを決定しました。厚労省の政策上の疑問点は混合診療以外にも多数ありますが、クスリの欠品問題も含め当院として今一番頭を悩ましているのは、医療非課税問題です。これは院内処方で頑張っている医療機関の経営を極度に圧迫しています。簡単に言うと100円のクスリを消費税込み110円で薬問屋から購入し、患者さんには100円でお渡ししなければならないという問題です。薬価差益も無くなり厳しい経営を迫られる中、当院ではこの件だけで年間3,000万円以上の減収となっています。一刻も早く正常な状態(薬購入時も100円)に改善してもらいたいものです。さて今年のインフルエンザ感染状況はCOVID-19の影響もあってかなり早い時期から深刻なものとなりつつあります。皆さん、今年は少し早めに接種することをお勧め致します。当院におけるインフルエンザ予防接種は予約無しで受けることが出来ます。ワクチンは接種後2週間で効き始め、その後5ヶ月間効果が持続します。厚労省も今年はインフルエンザワクチンの需要が高まることを予想し、過去5年で最大量(約6300万人分)のワクチン供給を予定していますが、2017年、2018年のような全国的なワクチン不足が生じる前に接種することを目指しましょう。 2023.10.10