院長渡辺邦夫ブログ

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2024年09月21日

「足利に活‼」

 8月3日足利花火大会、8月4日桐生八木節祭り、そして8月18日群馬県立館林美術館にて大森暁生彫刻展と、立て続けに感動的な体験をさせて頂きました。足利で生まれ育った18年、強い郷土愛と故郷に対する誇りを持って36歳で故郷に戻り、1年間の足利日赤勤務後 わたなべ整形外科を開業しました。この足利を離れた18年の間、国の内外を問わず様々な研鑽を重ねて参りました。そのおかげで足利という街を、そして日本という国を多少客観的に見ることが出来るようになったと感じています。私が足利高校で学んでいた頃、近隣の太田市、佐野市、館林市、桐生市からは多くの越境入学者がいて、当時の足利高校のレベルの高さが伺えます。産業も繊維を中心に、とても盛んだった事が思い出されます。この頃の足利の繁栄ぶりを知る人間としては、今の足利の寂しい現状はとても残念で仕方ありません。

   こんな中、桐生八木節祭りに参加して軽いカルチャーショックを受けました。これまでは時代の流れで、同じように衰退の道を歩んでいる街として桐生をとらえていましたが、市民参加型の熱気あふれるイベント、そしてその運営方法を知り、頭の下がる思いがしました。桐生の企業経営者達のメセナ活動への深い理解、資金的な貢献、そして祭りの企画運営に市民が積極的に参加することで熱い祭りが実行されていました。実際に参加して目の当たりにしたのは、桐生市民が本当に心からこの3日間の祭りを楽しんでいる姿でした。誤解を恐れず言わせてもらえば、一瞬 リオのカーニバルが頭をよぎりました。

    極めて対照的なのは足利の花火でした。今年も大勢の人が集まり大盛況だったと思いますが、何か違和感を覚えました。このイベントは入場料を払って離れた場所から見物する催しという感じで、市民が具体的に運営に関わり、祭りの熱狂の中に身を投じて楽しむという一体感がありません。(翌日、花火大会会場のゴミ拾いには多くの市民が参加しますが。)

    足利の花火は商工会議所主催であり、運営が赤字だと聞いています。その赤字対策として今年、メンバーの提案で有料席を大幅に増やしたとの由。来年はもっと有料席を増やす予定だそうですが、それはちょっと違うのではないでしょうか。警備ボランティアの募集やクラウドファンディングの活用など、運営上のバランスシートを改善する方法はいくらでもあると思います。何れにせよ有料席を大幅に増やし市民から小銭を徴収するという発想は私には理解出来ません。

   また、先日訪問させて頂いた、館林市の群馬県立館林美術館には何もかも圧倒されてしまいました。75,000㎡(約22,700坪)の広大なエリアに、極めてスタイリッシュな建造物が佇んでいました。既に建物自体が美術品という趣で、ヨーロッパにありがちな美術館建設のコンセプトを感じました。一方足利市立美術館はどうかというと、集合住宅の1~2階に設置してある狭いスペースで、上層階住宅からの水漏れリスクに配慮して、貴重な美術品の展示には対応出来ないと聞いております。また以前は市民会館という、割としっかりしたコンサートホールがありましたが、老朽化が進んだという理由で取り壊され、未だ再建の具体的なプランは聞いておりません。幼い子供達を楽しませる施設、文化的な催しをする施設、居心地の良い公園、等々足利には無いものばかりです。本当にいろいろな意味で我が故郷足利は魅力のない街になって来たと感じています。足利市は市民から集めた血税の分配をもう少し厳しく再検討し、市民にとって子育てし易い魅力あるまちづくりの為に使って欲しいと考えています。        2024.9.19