医療崩壊の足音が聞こえる
つい先日、厚労省が2026年度の診療報酬について発表しました。その内訳は2年平均でプラス3.09%というものであり(2026年度2.41%、2027年度3.77%)、3%超の引き上げは実に30年ぶりのことであると彼らは自画自賛しておりますが、今年度の医科診療所の引き上げ率は0.10%になる予想です。この数字は医療機関にのしかかる医療材料、医療機器、人件費、光熱費etcなどの上昇分を補えるものではありません。この厳しい状況の中、日本全国で医療機関の倒産、廃業が急増しております。2024年度は倒産64件、廃業722件であり2025年度は上半期だけでも既に35件が倒産しており、通年では過去最多の医療機関倒産となる予想です。この最大の原因は2年に1度改定される診療報酬の引き上げ率が異常に低いからです。体力的に脆弱な医療機関は、倒産あるいは廃業という形で姿を消し、市民のかかりつけ医が次々に消えるということが現実に全国各地で起こり始めています。現在日本の病院の70~80%は赤字、診療所も前年までは30%程度でしたが現在は40~50%が赤字であり、これらの割合は急増中です。更にこの傾向に追い打ちを掛けているのは2030年問題です。厚労省は2030年までに、すべての医療機関に対し電子カルテの導入を義務付けようとしています。この導入費用は莫大で、年間の維持費用もかかり、しかも5年毎にシステムの交換が必要となる為、医療機関側の出費はかなり大きな額になることが予想されており、これを契機に廃業する医療機関が更に増えることが予想されます。また薬価差益は既にほぼ消失しており、当院のように院内処方を採用している医療機関では逆に薬が経営を圧迫しています。これは厚労省が決めた医療非課税という奇妙な制度の為です。例えば当院は100円の薬を薬問屋から消費税込み110円で購入し、患者さんには消費税抜き100円でお渡ししていますが、これだけで当院の場合大変な損失が発生しています。しかしながら整形外科という科の特殊性(足腰が悪く移動が大変、高齢者の比率が高い)や、院外処方にすることで患者さんの自己負担分が3割近く増えてしまうことを考えると、足利に10ヶ所ある整形外科の中で唯一、これからも院内処方を続けて行く考えですが、諸般の事情により経営状態が今より更に深刻になった際は、院外処方への移行も考慮せざるを得ないことをご理解いただければ幸いです。











