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2021年05月06日

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策

 COVID-19との戦いが始まって一年以上経過しましたが、我が国においては一向に感染収束の気配が感じられない状況にあります。世界に目を転じるとコロナ対策において各国がその英知を結集して取り組んでいる姿が見えて来ます。国によって、その対策に成功し市民生活がコロナ前の状況に戻りつつある国もあれば、依然として感染拡大が続く国もあります。

 こんな中、コロナ封じ込めに成功している国に共通するのは、トップに立つ人間の確固たるリーダーシップであり、国民との信頼関係の構築です。台湾の蔡英文総統、ドイツのメルケル首相、ニュージーランドのアーダーン首相、シンガポールのリー・シェンロン首相など、TVカメラの前で官僚の用意した原稿をたどたどしく棒読みするのではなく、自分の言葉で情熱的に訴える姿には胸を打たれるものがあります。専門家と政治家がタッグを組み、リーダーはエビデンスと信念を持って最善の政策を国民に提示し、説得力のあるメッセージを伝える。有能なスタッフをコネではなく実力本位で採用し強い権限を与え、何のしがらみもなく存分に活躍できる場を提供するリーダー達の器の大きさに、ただ感服させられます。それにつけても我が国の政治家たちの悲惨ともいえるレベルの低さ、integrity(誠実、真摯、高潔)の欠如、そしてそれを支えるべき官僚たちの誇りを失った忖度行動、さらにはジャーナリスト達の、権力に媚び真実を伝えぬ報道姿勢を見るにつけ国家全体としての「知の欠如」を思い知らされ日本国存亡の危機であると日々感じております。


 批判ばかりしていても問題解決には至りません、COVID-19対策を自分なりに考えてみることにしました。
先ず我が国が抱える最大の問題点は、COVID-19対策を統括する絶対的な権限を与えられたリーダーが不在であるということです。誰も責任を取らない体制で動いている為コロナ発生から一年以上、現在に至るまで無為無策が続いています。

 WHO が推奨するコロナ対策は検査・追跡・隔離(Test Trace Isolate)「略してTTI」でありますが、コロナ対策として真っ先に進めるべき感染状況の把握が厚労省医務技監によって制限され遅々として進んでおりません。検査をすると大量のPCR陽性患者が病院に押し寄せ、医療崩壊に陥るなどという妄言に惑わされず、ここはもっと民間の力を活用し、PCR検査や迅速抗原検査など、エリアを設定した上もっと大々的に無料で実施し検査体制の大幅な拡充を図ること。そうして得られた情報はすべて公開し、これを戦略的に活用すること。また台湾のように強い権限を持って各省庁を指揮監督できる「中央感染症指揮センター」のような組織を新設し、指揮命令系統の強化と横の連携・協力を促進する体制を構築すること。

 こんな中、台湾で私が特に印象深いと感じた人物は日本の厚労大臣に当たる「陳時中」さんです。彼は2020年2月から連日午後2時から時間無制限で、すべての質問がなくなるまで記者会見を開き続けていた「鉄人大臣」という敬称のある方です。日本の政治家たちが開催する、時間が驚異的に短く、しかも質問にまともに答えようとしない不誠実な会見とは大違いです。台湾ではこうした会見を通じて国民と政府との間に強い信頼関係が構築され、国が発令するコロナ対策もスムーズに進んだのではないかと感じました。 


 さて検査陽性者に対しては、これを無症状、軽症、中等症、重症に分類し自宅待機で済む無症状者からエクモの使用が必要な重症者まで、その搬送先を適切に行えば現状の医療資源の最大活用で乗り切れるし、医療崩壊も防げると考えます。

 具体的には無症状や軽症の方はその程度に応じ、自宅待機か中国の如くプレハブ式の簡易病床を設営し収容する。中等症~重症の方はコロナに特化した新設の専門病院や既存の高度医療機関で分担して受け入れるなど。

 こんな中、都立広尾病院等の高度医療を展開する総合病院をコロナ専用病院にするというプランは医療資源(高度な設備とマンパワー)が無駄になるという意味で中止すべきです。また感染経路の徹底した追跡を通じてクラスターを潰し、飲食に限定せず感染機会の多い施設の営業停止とそれに伴う十分な補償をセットで行うこと。さらにコロナ治療薬やワクチンの日本国内での開発・製造については国家戦略上の最重要課題として捉え、国として製薬メーカーに対し十分な支援を行うこと。そしてこれまで「アベノマスク」の118億円超の無駄遣いに始まり持続化給付金に関わるペーパーカンパニーによる中抜き20億円等々、COVID-19に関連した夥しい税金の無駄使いを改めて徹底的に検証・総括し、決してうやむやにせず、その責任者を厳罰に処することで再発予防に努めること。

 こうした地道な作業を検察が政治家に忖度せず断固として実行することで国民の政府への信頼も幾らか回復するのではないか、また新型コロナ感染症というこれまで経験したことのない国家の一大事ではありますが、これをある意味我が国の抱える様々な問題点をあぶりだし改革する絶好の機会であると捉え、心ある政治家達は超党派で結束し直ちに行動を起こすべき時が来たと考えます。