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2014年04月05日

伝統の重み

昨年3月から、末の息子が英国に留学している。

開校以来400年以上の歴史のある伝統校である。先日春休みで帰国し、とても明るく饒舌になった彼と盛りだくさんの話をしていて、留学させたことが失敗でなかったことを確信した。最上級生の生徒が7月に卒業すると、全学年で日本人は彼1人になるとの事。いろいろな意味で私としては大変喜ばしい事であると思っている。彼との会話を通じ歴史と伝統に育まれた英国の学校教育の現状を知り、今の日本とついつい比較してしまい溜息が止まらなかった。 
 
体育学校でもないのに何しろ体を鍛える事に熱心である。かつて世界中の植民地から収奪した膨大な富により、我々の常識をはるかに超えたキャンパス内のインフラ整備が成されており、ラグビー(学年ごとに専用のgrass fieldを持っている)、サッカー、テニス、クリケット、バスケットボール、スカッシュなどなど様々なスポーツをバランス良く、授業の一環として毎日のSTUDYの後に取り入れ、ひたすら体を鍛え、「健全な精神は健全な肉体に宿る」を実践している感がある。
 
また毎日ハードな課題が課され宿題も多く、勉学面でも相当厳しそうだが、本人は割とケロッとしていて、何とかなっているようである。親としてちょっと嬉しいのは、忙しすぎてゲームもコミックも携帯もほとんど触れることなく毎日が過ぎているという所である。そして何より素晴らしいと感服したのは教師たちの生徒に接する姿勢だ。

やんちゃで未熟な小中高生たちを立派な英国紳士に育てようと、強い情熱を持って指導する教師が校内に数多くいる事が息子の言葉から推測される。生徒一人一人をじっくり観察し、その個性を伸ばし、結果よりもその思考プロセスを重視するという英国伝統の教育手法が脈々と先輩から後輩へ、400年の時を経て継承されている。また、教育の現場に人種的な偏見に基づくトラブルが発生せぬよう徹底的なルール作りが完成しており、この種の問題はほぼ皆無と聞いている。

かつて世界を制覇した大英帝国のしたたかな深謀遠慮の下、世界中から前途有為の若者を集め英国流の教育を施し母国に戻す。ちょうど戦前日本で教育を受け親日派となった台湾の「李登輝」元総統を連想させ、教育による世界戦略を邪推させる。全くの個人的な見解ではあるが、世界はやはり英米中心に様々なルールが作られ支配されている事を最近しばしば感じる。
 
いろいろな意味で世界の中心にある英国で教育を受けられる息子は本当に幸せな奴だとしみじみ思う。