ボラボラ島の記憶
この季節、夏が近づいて来ると、海なし県に育ったせいか無性に海に行きたくなります。
ボラボラ島は、「南太平洋の真珠」と言われ、フランス領ポリネシアの中で最も美しいと称賛され、タヒチ島を含む118の島々から構成されるソシエテ諸島に属する島です。
日本で「タヒチ」と言ったら、それはボラボラ島のことを意味していると言ってもいいかと思います。成田からの直行便でタヒチ島の首都パペーテまで11時間、さらにプロペラ機で1時間の飛行の末、目指すボラボラ島に到着です。
この島は、環礁に囲まれており、ラグーンではほとんど波が立たず、遠浅で、散在するサンゴ礁には無数の熱帯魚が群がっています。
私はかつてこの島に、ハネムーンで行ったことがあります。当時は日本からの直行便もなく、ハワイ経由でした。現地で宿泊したのは「水上コテージ」と言ってビーチから桟橋を歩いて渡って行く、海の中に建てられた家でした。ベランダにベッドを移動して足元に泳ぐ熱帯魚達を観察しながらお昼寝していると、海を渡る潮風がとても心地よくさわやかで、まさにいま自分が地上の楽園にいるという事を実感できます。
ホテルのプライベートビーチから見える場所にホテル所有の無人島があり、滞在中この島にピクニックに行く事になりました。ボート何艘かに分乗し、20人程で出かけましたが、お目当てはこの島にある水族館です。水族館と言っても立派なものではなく、島のビーチの一部をメッシュ状のプラスティックフェンスで囲い込み、この中に大量の熱帯魚が泳いでいるという施設です。はじめはスタッフから渡された魚の切り身を手に持って、海中でサカナ君達に食べさせていましたが、徐々に慣れて来てからは、シュノーケルと水中眼鏡を装着してフェンスの中を悠々と泳ぐ数匹の巨大なマンタの背中に乗り(両手でしがみつき(^▽^;))、しばしの間マンタと一緒に海中遊泳を楽しみました。
私たちのボラボラ島滞在は1週間でしたが、欧米人たちはほとんどが1ヶ月のバカンスを楽しんでおり、親しくなった仲間たちから「何故こんなに短期間で帰ってしまうのか?」「ここが気に入らないのか?」などと、彼らからすれば極めて素朴な疑問を投げかけられ、日本という国のいろいろな意味での貧しさを痛感したことがあります。
一つの例として、夏のバカンスは1ヶ月位取るのが当たり前、というような社会環境が整備されてはじめて先進国の仲間入りだし、人間に与えられた短い一生を本当に充実させ、楽しむことにも繋がるのではと感じています。