医療問題

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2012年02月14日

医師会なるもの

平成22年12月31日現在、日本の届出医師数は295049人で、このうち勤務医は約6割です。そして医師会への入会率は、全体で約60%(勤務医約50%、開業医80~90%)ですが、東京都などでは新規開業医の加入率が3割とも言われています。都会では医師会活動に魅力を感じないし、入会のメリットもあまりないと考える人が増えてきているという事でしょうか?
 
日本医師会はその下部組織である47の都道府県医師会、さらに全国約920の郡市区医師会から構成されており、その最高意思決定機関は代議員会ですが、比較的高齢の会員のみで構成されております。現実問題として非常に多忙な日常の業務をこなす若手の医師たちにとって、医師会活動に参加することは時間的に極めて困難な状況です。

日本医師会というと、何か自分たちの既得権を守るために、お金の力に物を言わせて、時の政権与党に政治献金をばらまき、やりたい放題の圧力団体というイメージが強いのかなと思いますが、最近ではこのやり方は通用しなくなって来ているようです。 

この際医師会は政治献金などという姑息な手段は捨て、純然たる学術団体として常に国民の側に立った活動に専念し、国民から信頼され尊敬されるような存在となることを目指すべきであると考えます。財務省の指示の下、国民の医療費を削減する事しか考えていない厚生労働省の役人たちに対し、患者目線・国民目線で、医師としての率直な提言を発信するようになって欲しいものです。

常々不満に思っている事は、日本医師会は実は医師全体の利益代表にはなっておらず、多くの医師はむしろ日本医師会の活動に賛同していないにもかかわらず、マスコミからの批判はすべての医師達に向けられているという事です。もう少し詳しく言うと、医師全体に占める内科医の比率は約6割、医師会活動の中核となる理事や代議員の7割以上は内科医であり、日本医師会の要求は日本の医師全体の意見を集約したものとは成っておらず、その多くは内科開業医たちの利害を反映したものとなっていることが多いという事です。
 
日本医師会、県医師会、足利市医師会と眺めていて一番強く感じるのは、中核で活動する医師たちの同業者目線が先行し、患者さん目線で活動することが極めて少ないという事です。多くの医師たちが市民の健康保持と増進、地域医療の充実のために多大な貢献をしているにもかかわらず、これでは医師からも一般市民からも支持が得られなくなるのは当然かなと思います。