日本人として、国際人として

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2012年01月22日

テーブルマナーについて

札幌で過ごした学生時代、当時まだ全盛だったフレンチのレストランでコース料理を頼むことになった時、恥をかかないようにと、あらかじめ「カッパブックス」で「テーブルマナー」という本を買ったことがあります。帝国ホテル料理長の村上さんが書いたものでしたが、今でも印象に残っているのは、一通り基本的なマナーの説明が終わった後、彼が最後の方で語っていた、「一番大切なことは、マナーにとらわれず、せっかく出てきた料理を心から楽しんで、美味しく、食べること。そしてその際、同席者およびその周囲のテーブルのお客様に迷惑を掛けないように振る舞うこと。」という部分でした。

今、この年齢になって、レストランで食事をする機会も以前より大分増えましたが、いつも心掛けているのは、食事そして同席者との会話を大いに楽しむこと、店のスタッフを巻き込んでジョークを飛ばし、彼らから最高のサービスを引き出すことです。また更に、テーブルマナーを熟知した上で、敢えてちょっとだけマナー破りをすることが出来たらカッコいいなと思っています。

さて今から、タイのプーケット島の「クラブメッド」というリゾートクラブに、夏休みを利用して家族で出かけた際のエピソードをお話しようと思います。

「All inclusive」といって、朝、昼、夜の食事やスポーツ施設の利用がすべて含まれている料金設定で、朝食以外は赤・白・ロゼ、すべてのワインが飲み放題のプランでした。その施設に滞在した時の事です。

食事はすべてブッフェスタイルで、好きなものを好きなだけ、セルフで取って来て自分のテーブルで食べることになっていました。この時、日本人観光客の大半は、大きなプレートに山盛り、サラダから肉まで、まるでワンプレートランチのように載せてきて、しかも食べ切れずに大量に残してしまうという食べ方でした。

その時、同じフロアにいたフランス人のグループをウォッチングしていて、私はシビレました。彼らはまず最初にオードブルをピックアップして来て、ワインを飲み交わしながら30分程会話を楽しみ、そのあとスープ(またはパスタ)、魚料理、肉料理、サラダ、チーズといった具合に、一皿ずつ食べられる分だけ持って来て、ゆっくり会話を楽しみながら平らげて行きます。そして食べ終わった後のお皿は感心するほどキレイでした。ニコニコと、現地のタイ人スタッフ達との会話も楽しみながら、料理を残さず平らげる彼らと、食べ切れず大量に残し、テーブルを散々汚したまま、そそくさと、あいさつもせずに立ち去って行く日本人と、両者をウォッチングしていてイロイロ考えさせられました。いくら生活習慣の違いがあるとはいえ、国際社会の中での日本人の立ち位置を考えた時、この体験は私の子供たちにもいい勉強になったのではと思っています。

これからもさまざまな場面でテーブルマナーが求められることがありますが、マナーを熟知した上で、敢えてマナーにとらわれず、楽しい時間を過ごしたいと思います。