頭のいい人悪い人
以前から気になっていたことですが、日本人は割と安易に「あの人は頭がいいとか、悪いとか」他人を評価してカテゴリー分けしているような気がしますが、主にその判断の根拠としているのは学歴のようです。とりあえず東大、京大、早稲田、慶応その他各大学、そして各医学部など偏差値の高い大学、学部に合格した人を頭がいい人と定義している節があります。
しかし私に言わせれば、たかが学歴で頭がいい悪いなどと判断するのは愚の骨頂。日本の大学受験で試されているのは物事を思考する能力ではなく、ただ単に暗記力の優劣であり、設問に対して誰かが決めた唯一絶対的な正解?を反射的に吐き出す能力であると私は考えています。この合格した人達の中には 稀に本当に優秀な人間も混じっていますが、大半は単に受験テクニックに長けているだけの人達だと思います。
まったく同じ知能を持った人であれば、生まれ育った場所が大都市か地方都市かで合格出来る大学は大きく変わって来ます。受験実績のある予備校や豊富な受験関連の書籍が簡単に手に入る書店、受験生のモチベイションをあげる為の様々なイベント等々、都会には受験テクニックを向上させる為の選択肢がゴロゴロ転がっています。
こうして本当は優秀でない人、単に受験テクニックに長けただけの人間が大量に偏差値の高い大学に入学してこの国の舵取りをすることになっています。我が国の長引く経済政策の失敗は単にT大学法学部を卒業しただけの人間が経済政策を担当しているからだと、以前は単純に考えていましたが、最近は少し違うなと思うようになりました。そもそも仮に経済学部を卒業した人間であれば上手に経済政策の舵取りが出来るのでしょうか?
物事はそれ程単純ではなく、日本という国のプレゼンスがここ十数年に亘り様々な分野で急速に落ち込んでいる根本的な原因は、本当に優秀で国際的な広い視野を持った大前研一氏のような人間、国際舞台で普通に英語でディベートが出来る人間が、この国を導くポジションに就いていないからだと私は考えています。
では本当に優秀な、いわゆる頭のいい人とは一体どんな人だと思いますか?
私は、雑多な情報を戦略的に整理して、説得力を持って伝える能力を備えた、教養のある人だと思います。因みに教養人とは、単に偏った専門知識が豊富な知識人ではなく、多様な文化や歴史についての見識も豊富で、5年、10年先まで見通すことの出来る透察力を持ったリベラルな人だと思います。こういうまともな人間、国際社会でも高く評価される人間を育てる為には、以前から欧米で教育の基本として採用されている「リベラルアーツ」の考え方を、もっともっと教育現場に浸透させ「ART・SPORT・STUDY」の三拍子揃った人材育成を進めることだと考えます。
偏った専門知識だけで国際的な見識の無い、海外の高官の家で催されるホームパーティーに招待されても、気の利いたジョークの一つも発することが出来ず、存在感の無い壁の花、ユーモアのセンスもARTの素養も無い、極めて人間としての魅力に乏しい若手官僚たちが各省庁から選抜され、国費で海外研修に出て行く現状は、税金の無駄使いだと考えています。更に困るのは海外留学中、政府高官のホームパーティーに招かれたことがあると自慢し、石原慎太郎氏言う所の「yellow banana 」となって日本の国益を損なう情報のリークを日常的に行っていることであります。