平成24年度診療報酬改定 続編
平成24年4月2日(月)、平成24年度診療報酬改定に伴い、新システムによる外来診療が始まりました。
今回も案の定、我々整形外科にとってかなり厳しい内容となりました。中でもリハビリが受けたダメージはかなり大きく、今まで通りのスタイルで診療していると、同じ治療行為をしていながら、収入が約三分の一程に減少するという内容でした。
現在日本では、医師が行う診察の初診料が2,700円、再診料が690円と決められていますが、アメリカでは大体、初診料1万円、再診料5千円位が相場です。
高校卒業後、難関中の難関と言われる医学部に合格し、6年間の勉強の後、年に一度の医師国家試験に合格した7,500人前後の医師たちが、関連病院や大学病院で少なくとも6年以上の研鑽を積んだ後、開業医として一般の患者さんの診療に従事しています。
来院された患者さんに対し、これまで勉強した知識と経験のすべてを結集して診察し、治療計画を作成する過程に対して支払われる初診料が2,700円というのは、個人的には納得行きません。患者さんにとっては安くて良かったねというレベルの話かもしれませんが、医師の技術料に対する評価がこれほど低い国は、先進国を見渡してもあまり例を見ず、外来は薄利多売となり、3時間待ちの3分診療を生む土壌となります。
今回の改定では、リハビリだけで来院された患者さんもすべて医師のチェックを受けなくてはならないというものですが、これは如何にも現場を知らない役人の発想だなと思いました。大体、再診料という表現が不適切であり、基本診療料のような表現に切り換えるべきかと思います。
毎回診察をしなくとも、医師が治療のプランを立て、それを訓練されたスタッフが実行しながらリアルタイムで観察し、定期的にチェックを入れるというこれまでの診療スタイルは、患者さんから見ても、医師の側から見ても、極めて合理的で、双方の無意味な時間的負担を軽減するという意味で、とても素晴らしいシステムだったと思います。
しかし厚労省の決めたルールに逆らっては今後の診療が続けられないという中で、我々はプラス思考に頭を切り替えることにしました。毎回ドクターチェックを受けてもらうことで、患者さんの超早期の体調の変化を見逃さず、適切な処置が可能になったと思います。また治療のプログラムが以前よりも確実に実行されるようになることが期待され、患者さんにとってはメリットも多くなるものと思います。
大混乱の初日を過ぎ、二日目、三日目と進むにつれ、患者さんもスタッフも少しずつ、この新しいシステムに慣れて来たように思われます。
今後の課題としては、約1.5倍に増えたドクターの仕事量であり、院長・副院長の高齢化が進む中、体力的に大丈夫かなという心配です。
これからも様々なアイディアを採用し、徐々に改良を加え、すべての患者さんに納得していただけるような診療の流れに持って行きたいと考えておりますので、これからもよろしくお願い致します。