医療問題

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2012年03月18日

3時間待ちの3分診療

マスコミが医療機関叩きを行なう時の常套句があります。

その代表格が「3時間待ちの3分診療」かと思いますが、他にも「薬漬け医療」「検査漬け医療」「救急患者のたらい回し」などの言葉を使い回しして、日常的に医者叩き、病院叩きを行なっています。「タブーの正体」ちくま新書(川端幹人著)でも明らかなように、偏った、恣意的な報道を得意とする日本のマスコミですが、これに振り回され、その情報操作によって事実を誤認している国民が多く存在します。私はこれまでも様々な機会をとらえ、正しい情報を皆さんにお伝えする努力をして来たつもりですが、まだまだ医療に関しての誤解は根の深いものがあるなあと、常々感じております。
 
大病院で常態化した「3時間待ちの3分診療」の背景にあるものは何か、皆さん考えたことがありますか?その一番の原因は、日本の医療費は安い、ある意味安すぎるからです。安いことはいいことだと考えている方が多いと思いますが、医療費が安いと人件費を含めたあらゆる経費が削られます。日本の病院では医療従事者の人数が欧米の半分以下なのです。少ない人数で欧米の何倍もの患者さんの治療に当たりますので、外来はさながら戦場の様相を呈し、また大部屋病棟は人間の尊厳を無視した最悪の医療環境となっています。(様態が悪く、トイレに行けない患者さんがベッドサイドで排便する光景を想像してください。便の臭いが部屋中を覆い、さながら豚小屋の様相を呈します。)

国民一人当たりの日本の医療費は、GDP換算すると世界の先進国中最低ランク、アメリカと比べるとほぼ2分の1です。医師の診察料はアメリカの5分の1に抑えられ、入院費用も日本では一日平均6,000円程度なのが、アメリカでは一日20万円以上が当たり前。このため、入院期間や費用にも大きな差が出ます。例えば盲腸の手術を受けた場合、アメリカでは一泊二日で退院し、平均200万円かかるのに対し、日本では一週間入院しても40万円かかりません。アメリカでは術後、入院費用が高すぎるので超早期に退院し、病院周辺のホテルに移動して、痛いお腹を押さえながら通院するのが当たり前です。病院を受診する患者さんの数が多ければ多いほど、待ち時間は増え、1人当たりの診察時間は少なくなります。アメリカの開業医は完全予約制(つまり待ち時間ゼロ)で、一人当たりの診察時間は大体30分位かけ、十分納得いくまで説明してくれますが、その代り大体5倍位の診察料を取られます。したがって病院を受診するのは、かなり病状が進んでからだったり、緊急の場合に限られ、軽症の場合ドラッグストアレベルで済ませてしまいます。

事実は立体であって、様々な角度から光を当て、フェアに報道しないと情報操作につながる危険があるにも拘らず、日本のマスコミはいつも、記者クラブなどの安易な情報提供組織に寄生して受け売りの報道に終始し、自分の足でしっかりと情報収集・検証し、署名入りで伝えるということをしない為、一部の偏った情報を安易に発信し、その結果、医療に関する間違った認識が日本全体に広まっているような気がします。

 皆さんも是非、3流マスコミの偏った報道に振り回されることなく、冷静に賢く情報収集に努め、正しい認識を持って行動していただきたいと思います。