忍び寄る医療崩壊の足音
皆さんこんにちは。副院長の福です。
春分の日も過ぎて、少しは春らしくなるかと思いましたが、朝晩は寒い日が続いています。それに、風も強い日が多いですね。転倒には十分にご注意ください。
さて、今回の話は以前からこのブログでも書いていたことですが、今年は決定的な変化があるようです。
(1)先ず、一つ目は、クスリの問題です。厚労省は医療費削減のため、ジェネリック医薬品を奨励してきましたが、ジェネリック医薬品の価格を下げ過ぎたため、多くの製薬メーカーが製造から撤退しています。こため医薬品が医療現場に届かなくなっているのです。私は40年以上医師をやっていますが、処方したい薬が病院にないという現象は初めての経験です。必要な薬が飲めずに困っている方も多いのではないでしょうか。体調が悪化したり、命に関わるような問題は起こっていないのでしょうか。心配です。
(2)二つ目は、救急の問題です。平日はまだ良いのですが、週末の午後、それに祭日です。当院では土曜日は午後6時まで、日曜以外の祝日は午前中のみ診療を行っていますが、結構込み合っています。特に土曜日の午後は遠方からの患者さんも多く見受けられます。他がやっていないからいらっしゃるのだと思いますが、うちが無くなったらどうなるのか心配です。更に、昨今では医師の働方改革で、大病院の方が宿直や時間外に制限ができて、救急の対応が困難になっているようです。不調を感じるときは、金曜日までに診てもらうことをお奨めします。
(3)三つ目は、極め付きですが、診療報酬改定の動きです。医療の費用はすべて公定価格で、厚労省が決定しています。しかし、厚労省は医療費を減らすことに熱心で、ここ何年かはマイナス改定が続いています。一般企業の賃金は上がっているようですが、医療や介護では賃金は上げられません。厚労省は今年は、医療の本体部分はプラス改定だと言っていますが、1%以下の雀の涙ほどです。これでは消費税分にも当たりません。更に今回の改定では、疾患の指導管理料の大幅な廃止があるようです。私は医師が報酬をもらえるのは、治療するための知識があって、治療の技術があるからだと考えています。指導管理で報酬が無いという事は一体どうゆう事なのでしょうか。医師は無価値という事でしょうか。もう医者はやめるという開業医がでてくるのではないでしょうか。
他にも細かいことはありますが、私もこれを書いていて、そろそろいつ辞めるか考えなくてはいけないかな、と考えています。皆さんも自分の体は自分で守るのが一番ですが、専門的なアドバイスをもらえる医師は絶対必要です。日ごろからかかりつけ医の先生とよく相談して、何かの時はどうするか、考えておきましょう。
それではまた。