コロナ禍の中で
皆さんこんにちは。副院長の福です。
朝の冷え込みがきつくなった気もしますが、昼間はまだ汗ばむようなときもあります。体調管理には十分ご注意ください。
さて、一時の大流行は収まりつつありますが、コロナ感染はまだまだ続いています。政府は旅行支援や外国人観光客の入国制限撤廃など、感染防御より経済復興への舵を切ったようです。感染対策は自己責任で行え!ということでしょう。皆さんも十分ご注意ください。
こんなコロナ禍で、ちょっと心に響いた本がありました。それは夏川草介さんの『臨床の砦』と『レッドゾーン』です。夏川草介さんは、映画化もされた『神様のカルテ』の原作者です。現役の医師としても活躍している方です。
『臨床の砦』も『レッドゾーン』も地方の公立の中規模病院でのコロナ発生から、コロナ受け入れ病院となり、実際にコロナ患者を入院治療するようになっていく過程で、コロナ診療対応に関わる様々な人たちの、特に医師たちの、心の揺らぎを、ドキュメント風に小説化した作品です。
出版は『臨床の砦』は2021年4月、『レッドゾーン』は2022年9月ですが、『臨床の砦』は2021年1月から話が始まります。『レッドゾーン』では、2020年2月から話が始まりますので、時系列的には『レッドゾーン』から読む方が分かりやすいかもしれません。登場人物も一緒なので、どちらか読んでも良いかと思います。
この二作品を読んで、つくづく感じたのは、「新型コロナ感染症」という未知の病気への対応、しかもパンデミックという形での病気の広がりへの対応が、国を筆頭に地方自治体などの行政、大病院や中小病院、そして我々医師、さらには国民一人一人の、それぞれのレベルで、全くできていなかったという事です。
国はパンデミックの可能性を過小評価し、初期に海外からの感染流入を止められませんでした。大病院は治療法がないという理由で入院を拒否しました。医師も専門外という理由でコロナを傍観しました。国民も感染すると怖いからと、患者や病院職員までを差別しました。
パンデミックはコロナが初めてではありません。また、これからも起こることです。自分自身も含めてそれぞれのレベルで、来るべきパンデミックへの心構えを再構築しないといけないと、つくづく感じました。
この二作品の主人公である、消化器内科の敷島医師 には、二人の子供がいますが、長女の桐子ちゃんの成長が、ちょっと楽しく頼もしく感じられました。
それではまた。