事実誤認
皆さんこんにちは。副院長の福です。
新型コロナウイルス感染も、どうやら落ち着きを見せてきたようです。でも、冬場になると感染の再拡大が起こる可能性も十分にあり得ます。皆さんも、感染予防対策を怠らないようにしましょう。
私は、あまりテレビドラマは見ないのですが、この間たまたま見たドラマで気になることがありました。そのドラマは、放射線技師と放射線診断部の医師の出てくるドラマでしたが、この中で救急医が患者の骨粗鬆症を見逃したために患者がスポーツをして転倒し、骨折したとして、患者に訴えられる話しが出てきました。
ドラマの中では、骨粗鬆症がある人はまるでスポーツはしちゃだめと言わんばかりの設定でした。これは明らかに事実誤認で、骨粗鬆症の人は積極的にスポーツをすべきです。もちろん転倒への注意は、十分に行うべきですが、運動を行って、骨に刺激を加え、骨密度を増加させることは、骨粗鬆症の治療には必要です。
さらに、病院長は診療の経過や、検査結果などを一切考慮せず、責任を救急医に押し付けて、賠償金を支払うことを決めてしまいます。ここにも重大な事実誤認があります。医療とは不確実なもので、最も良い治療を行っても最悪の結果に終わることもあります。このため、医師はほぼ全て「医師賠償責任保険」に加入しています。このドラマの場合も、この保険が発動するわけですが、そのためには保険会社の許可が必要で、勝手に賠償すると言ってしまうと、保険は効かなくなります。院長か救急医かが個人で賠償金を支払わなければならなくなるのです。
まあ、ドラマですからそこまで気にすることはないかもしれません。
もっと質の悪い事実誤認があります。それは、岸田首相が医療職や介護職の給料を上げると言っていることです。医療や介護の給料は、その組織を運営している企業が決めるものです。首相がいくら上げろと言っても、財源が無ければ上げられません。そして、医療や介護の収入は、医療保険や介護保険からの収入が大部分です。さらに、医療保険、介護保険は点数が厳密にきめらており、これを増やすことはほぼ無理です。ですから医療や介護の現場で働く人の給料を上げるためには、18歳未満の現金給付と同じように、職業別現金給付とせざるを得ないのではと思います。しかし、これをやると他業種の労働者から不平不満が爆発するでしょう。ですから、岸田首相はできないこと言って、現場を混乱させているだけのような気がします。
すべての人が満足できる解決方法は、ないかもしれませんね。さて、岸田さんはどう解決するのでしょうか?
それではまた。