2022年07月14日
ノーベル賞を取りそこねた「北里 柴三郎」
皆さんこんにちは。副院長の福です。
夏休みを前に、新型コロナ感染が急拡大しています。政府はほとんど何も対策を取らないようですので、マスク、手洗いなど、自分でできる対策をしっかり行ってください。
新型コロナはウイルスによる感染症ですが、ウイルスが発見されるまでは、感染症の原因は細菌と考えられていました。19世紀末、結核菌やコレラ菌を発見したドイツのコッホは、細菌学の大家として知られていましたが、日本からコッホの下へ留学したのが、北里柴三郎でした。
北里はコッホの下で、世界で誰もなしえなかった破傷風菌の純培養を成功させ、さらに、破傷風抗毒素の血清療法という画期的な治療法を発見しました。その後も、ジフテリアの血清療法も発表していますが、兄弟子のエールリッヒとの共同研究としての発表でした。
このころ始まったノーベル賞の、第一回の候補として北里も選出されましたが、受賞はエールリッヒだけでした。当時は共同研究者の共同受賞など無かったので、しょうがないのかもしれませんが、北里のノーベル賞受賞はありませんでした。
しかし、北里の評価は高く、各地の研究所から誘われましたが、北里は日本を伝染病から守るため、日本に帰国します。ところが、東大は脚気を伝染病でないとする北里を、快くは受け入れず排斥します。これを見かねた福沢諭吉が、私財を投じて伝染病研究所設立し、北里を所長として迎えます。この時の事を恩義に感じた北里は、慶応義塾大学が医学部を作る際に、全面的に協力を惜しまず、初代の医学部長となっています。
2024年から新しいお札が出ますが、北里柴三郎は新千円札の肖像となっています。今の一万円札の福沢諭吉と並べて、日本の医学の歴史を思い返してみるのも、面白いかもしれませんね。
それではまた。